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4日目(1999年11月22日月曜日)

寝覚めはよかったような悪かったような。
とりあえず、外は快晴だった。
相変わらず、腰の方は重かったが。
今日の予定はしっかり決まっていた。
九州といえば、熊本。
熊本といえば、阿蘇。
阿蘇といえば、草千里。
草千里といえば、もちろん森高千里様だ。
っていうか、九州といえばちー様なのだが。
というわけで今日の(というかこの旅の)目的地は阿蘇にある喫茶店「オレンジヒル」
紅茶を葉っぱから飲むという高貴な趣味をお持ちな某K氏や某K女史ならともか く、色がついてれば茶(生協基準)と思っていた私にとっては、まともに紅茶を飲んだの はこのお茶が初めてだった。(たぶん)

そんなわけで、福岡から熊本に向かうべく、早速熊本行きの特急に乗った。
途中、鳥栖駅裏にそびえ立つスタジアムを見上げつつ、熊本駅に着いた。
しかし、この乗車は腰に大きなダメージを与えた。
はっきりいって、真っ直ぐ歩くのもつらい。
せっかくの熊本、しかも超快晴だというのに。
仕方ないので薬局を探して歩き始めた。
けれど、さっぱり薬局は見つからず、30分ほど付近をうろうろしてやっとたど り着いた頃には、いい加減痛いのにも慣れてきていた。
シップを手にいれた私はトイレかどこかでそいつを貼ると、いよいよ阿蘇に向 かった。

「オレンジヒル」に行くには赤水駅が最も近い。
鈍行に乗った私は紅葉にはまだ早い熊本の山々を見ながら赤水へと向かった。
途中スイッチバックだかなんだかというテッツーなら楽しいらしいイベントを こなし、赤水駅に到着した。
阿蘇の麓の田園地帯は見渡しても山と米のな い田んぼの中にぽつんと立つ温泉ホテルだけの田舎だった。
ぼーっとあたりを見ているわけにも行かないので、駅前の国道(?)にでて阿蘇山 行きのバスに乗るべくバス停に向かった。
オレンジヒルは阿蘇山に登る途中にある「阿蘇ファームランド」近くにあると いう情報は得ていた。(「近い」というのがどの程度かは知らなかったが。) バス停の時刻表を見た時の驚きは、ドブ に落ちたときの5分の3くらいだったような気がする。
美しいことに阿蘇火口行きのバスは日に3本しかなく、その時の時刻は午後唯一の便の14時の便まであと数分だった(はず)。
間に合ったんだからいいじゃんという意見もあるかもしれないが、バスは行け ればいいってもんではない。
帰って来なければならないのだ。
しかし、帰りのバスの時刻を調べる間もなく到着したバスに乗って私は阿蘇山 に向かっていた。

バスの乗客は私一人だった。
紅葉時期でもない月曜の午後に阿蘇山に登れる人は、飛び石連休を有給で作れ る方か悠々自適モードに突入した方くらいだろう。
学生だって月曜くらいはちゃんと学校に行くだろうし。
バスの運転手もまさか客が乗るとは思ってなかったのだろう。
このあと、私は初めての経験に驚愕することになる。
バスは阿蘇山に向かう交差点を曲がらずに直進したのだ。
「まじ、、。」
このまま、私は阿蘇山に向かえないのかとドキドキしつつ運転手に確認しよう としたとき、さらにバスは驚くべき行動にでた。
なんとバスは交差点の角にあるガソリンスタンドに突っ込んでいったのだ。
「燃料いれてっから。」(原語:熊本弁)
運転手の一言にまともに返事のできないまま、私は窓の外に広がる光景を眺めるだけだった。
無事満タンの軽油を積んだバスは阿蘇山への登山ロードを走り始めた。
交差点から「阿蘇ファームランド」までは意外と近かった。
赤水の駅からもたいして離れていない。
またまた、エセ旅人の心が私を支配した。
私はそのまま阿蘇山火口までバスに乗り続けることを決断していた。
バスはその後も草千里前で時間調整の ために停車しつつ、阿蘇山火口に着いた。
ここからは、ロープウエーで火口に向かう。
しかし、ここでまたまた問題が発生した。
ここから赤水行きのバスが出るのは15分後。
しかもそいつが最終だというのだ。
ロープウエーは往復で10分。
つまり、火口滞在時間は5分。
だがここまで来て火口を拝まずに帰るわけにはいかない。
ロープウエーに飛び乗った私は、降りるや否や展望台へと走る。
肉眼での堪能もほどほどに写真を撮りまくる。
ロープウエーの案内放送が流れる中、腰の痛みも忘れて走り込んだ私が下で見た ものは、ちょっぴりブルーなものだった。
同じバス。
そう、乗ってきたバスが最終バスだった。
まあ、帰りの乗客が私一人ではなかったことが唯一の救いだった。

最終バスは山を下り、阿蘇ファームランドにたどり着いた。
最終バスなので当然帰りのバスはもうない。
しかし、今回の目的は「オレンジヒル」。 迷わず、私は降りた。
けれど真っ直ぐ「オレンジヒル」に行かないのが この旅。
というわけで阿蘇ファームランドをちょっぴり見学。
入り口の牛さんは療養中
ほんとにちょっぴり過ごしたあと、いよいよ「オレン ジヒル」
きれいなログハウス風でかなり素敵なお店。
緊張しながら中に入ると森高グッズが入り口の棚に並んで、店内には千里様の お写真がいろいろなところにひっそりと飾られてる。
注文はもちろん「オレンジヒル」。 お茶請けにクッキーもついておいしいお茶を堪能した。

たいして長居もしないまま「オレンジヒル」を あとにして赤水駅へと歩き始めた。
夕暮れの阿蘇五山を横に見ながら駅に急 ぐ。
そもそも最終列車の時間を調べていないのだ。
駅についても帰れるかどうかの保証もないまま、歩くのほどブルーなものはな い。
幸いなことに列車はあったので暗くなったホームで列車を待った。
帰宅途中の地元の高校生の会話を聞きながら、福岡に帰った私は明日からの学 会に備えてホテルに早めに帰った(だろう)。
とりあえず、おやすみなさい。


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